どうも、TJです!(自己紹介はこちら)
今回ご紹介するのは、メタップス創業者の佐藤航陽さんが書かれた「未来に先回りする思考法」です。
本書では、人工知能や仮想通貨など幅広い事業を手掛ける佐藤さんが考える、「未来予測の全技法」が余すところなく解説されています。
もしも社会が進化するパターンを見抜いていれば、状況が変わっても未来を見通すことが可能になります。
「はじめに」より引用
そのための汎用的な思考体系をお伝えするのが本書のテーマです。
この記事では、本書の中でも特に重要なポイントに絞ってご紹介していきたいと思います。
それではさっそく見ていきましょう!
結論
結論からお伝えすると、未来に先回りするために大事なことは以下の4つです。
それぞれ具体的にどういうことなのか、ひとつずつ解説していきたいと思います。
点ではなく線で考える
Googleが自動運転への投資を始めた時、「なんで検索エンジンの会社が?」と感じた方は多かったのではないでしょうか。
検索エンジンと自動車をそれぞれ「点」で捉えていると分かりませんが、インターネットが持つ性質と「世界中の情報を整理して誰にでも利用可能にする」という彼らのミッションを理解していれば、これらふたつの「点」は「線」として見えてきます。
最近では、「あらゆる物体が知性を獲得する時代が来る」という話を聞くことがあると思いますが、そこに至るまでの流れは以下です。
このように、「AI」や「人工知能」などの技術がどういう社会の変化の中で生まれてきたものなのかを理解することが、「点ではなく線で考える」ということなのです。
GAFAをはじめとする巨大テック企業は、長い時間軸から社会の進化のパターンを捉え、その流れを「線」としてつなげて意思決定をしています。
その後の世の中の流れを追っていくと、あたかも、彼らは未来に先回りしていたかのように見えるのです。
常に原理から考える
突然ですが、なぜ世界人口の1%にすぎないユダヤ人が、ノーベル賞受賞者の20%を占めているのだと思いますか?
なぜ人口800万人程度のイスラエルという国が、アメリカに次ぐ数のナスダック上場企業を輩出しているのだと思いますか?
その答えは「必要性(Necessity)」です。
数千年の長い迫害から生き延びるために、ユダヤ人には「知恵」を身につける必要性があったのです。
周辺国との争いが絶えない中東で、アメリカをはじめとする諸外国への影響力を保ち続けるために、イスラエルにはイノベーションを起こすための必要性があったのです。
このように、あらゆる技術や社会システムがどのような必要性に基づいて生まれたのかを考えることこそが、原理から考えるということなのです。
社会の流れを捉えるためには、あらゆる物事に対して「なぜそれが生まれたのか?」という原理から考える必要があります。
テクノロジーの現在地を知る
そもそもテクノロジーは何のために生まれてきたのでしょうか?
テクノロジーの本質は、何らかの形で人間の持つ機能を拡張することにあります。
蒸気や電力が人間の手足の「動力」を拡張するものだとすれば、コンピュータやインターネットは人間の「知性」を拡張するものであると言えます。
繰り返しになりますが、コンピュータやインターネットが人間の「知性」を拡張し、さらにはあらゆる物体が「知性」を獲得していく流れは以下でした。
このように、テクノロジーの変化を点ではなく線で捉え、自分たちがいまどの地点にいるのかを認識することが、テクノロジーの現在地を知るということです。
さらに、テクノロジーを「知る」という行為には4つの段階があります。
4までは知る必要はなく、重要なのは3の「原理」を知っているかどうかです。
そのテクノロジーがなぜ誕生し、どんな課題を解決してきたのかを知ることで、その課題を解決する別の選択肢が誕生した時に、未来の方向性をいち早く察知することができるのです。
タイミングを見極める
iPhoneが20年前に発売されていたとしたら、どうなっていたと思いますか?
おそらく、現在のような世界的な普及はなかったでしょう。
端末製造のコストが下がり、ネット回線が十分に早くなったタイミングで登場したからこそ、iPhoneは成功したのです。
つまり、タイミングがすべてを決めるのです。
タイミングが早すぎれば、コスト、技術、品質、倫理などの面で社会に受け入れられることはなく、逆に遅すぎれば成果はすべて他人に持っていかれてしまいます。
著者の佐藤さんは、タイミングを見極めるという行為を、「電車に乗る」ことに例えて説明しています。
未来が読める「だけ」では価値はないのです。
その恩恵にあずかるためには、未来に向かう電車が来るタイミングで、必要なリソース(切符)を揃えて、駅のホームで待っていなければなりません。そのためには、まず自分が持っている手持ちのカードをきちんと把握し、電車が来るまでの残り時間の中で、足りない条件を揃える必要があります。
「第4章 未来に先回りする意思決定法」より引用
では、どのようにしてタイミングを見極めて、電車に乗る意思決定をすればいいのでしょうか。
メディアと周囲の人をリトマス試験紙にする
タイミングが適切か読むうえで最も参考になるのが、周囲の人の反応です。
もし、新しいもの好きのギークのみが熱中していて、そのテーマについて他人に話しても8割の人が効き返してくる場合は、まだ少し早いです。
逆に、マス向けの新聞や雑誌、テレビなどのメディアで頻繁に取り上げられているようであれば明らかに遅いです。
重要なのは、できる限りサンプルが偏らないように、様々なタイプの人にヒアリングを重ねることです。
五分五分で決断する
また、自分でも成功確率が五分五分というタイミングがチャンスであると言えます。
統計的に見ると、ビジネスは全体の1%しか成功しません。
必然的に、成功する事業というのは世の中の少数派から生まれなければならないはずです。
そう考えると、9割の人がその未来を予見できたタイミングで意思決定しても手遅れで、誰の目にも分かってしまえば、チャンスはチャンスではなくなります。
本当に重要なのは自分自身のそのときの認識ではなく、進化のパターンから導き出される未来の方に賭けられるかどうかです。
周りの人たちが一度話しただけで理解できるようだったら、考え直してみましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
社会が進化する方向性には大きな「流れ」があり、適切なタイミングで必要なリソースを揃えた人間が、その成果を手にするというお話をしてきました。
本書の終盤で佐藤さんが述べていますが、GAFAをはじめとする巨大IT企業の創業者たちが考える未来像は驚くほど酷似していると言います。
誰がいつそれを実現するかは分かりませんが、何が起きるかについては、おおよその流れはすでに決まっています。
つまり、人が未来をつくるのではなく、未来の方が誰かに変えられるのを待っているのかもしれません。
Be a doer, not a talker.
「おわりに」より引用
(評論家になるな、実践者たれ)
そして、未来に先回りするために最も大事なのは、社会が進化するパターンが認識できるまで、とにかく行動することです。
今回ご紹介した思考法を駆使して、来るべき未来を迎えに行きましょう。
ではまた!