どうも、TJです!(自己紹介はこちら)
今回ご紹介するのは、英語のパーソナルジム「ENGLISH COMPANY」にてシニアリサーチャーを務める時吉秀弥さんが書かれた「英文法の鬼100則」です。
本書では、認知言語学をベースにした、丸暗記に頼らない、「人を説得するための英語」を話す方法論が解説されています。
「英語が話せるようになりたい」「英文法を学び直したい」と考えている方は必見の内容となっております。
それではさっそく見ていきましょう!
英語と日本語の根本的な違い
突然ですが、英語と日本語の根本的な違いは何でしょうか?
それは、日本語が「自分がカメラになって外の風景を写す言語」であるのに対して、英語は「外から、もう1人の自分が自分を眺める言語」であるということです。
例えば、「ここはどこ?」を英語で言う場合、「Where is here ?」とは言わないですよね。
正しくは「Where am I ?」となりますが、これはまさに外から地図上にいる自分を眺めている感覚です。
「英語脳」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、その定義はこの「外から自分を見る」言葉の使い方であるということを覚えておきましょう。
英語を話せるようになるということは、英語脳で世界を見る、つまり外から自分を見る能力を手に入れることなのです。
英語の語順に関するたった2つのルール
英語を話す時に、「どっちの単語が先だっけ…」と語順でつまづいてしまうことはありませんか?
実は、英語の語順にはたった2つのルールしかありません。
英語の語順ルール1: 言いたいことから言う
例えば、「This is a pen.」が疑問文になると「Is this a pen ?」になりますが、なぜ「Is」が前に出てくるのでしょうか?
それは、「Is」が一番言いたいことだからです。
これがペンなのかどうかを迷うということは、「This is a pen.」なのか「This is not a pen.」なのかが気になっているということです。
したがって、「Is」なのかどうかを早く聞きたい、早く言いたいということで、「Is」が前に出てくるのです。
間接疑問文で倒置が起こるとき
「I don’t know where he is.」のように、大きな文の中に組み込まれた小さな疑問文のことを「間接疑問文」と呼びますが、場合によって疑問詞が文の最初に来ることがあります。
例えば、「彼はどこにいると思いますか?」に対して、「Do you think where he is?」では誤りで、正しくは「Where do you think he is?」となる場合です。
実は、これも「言いたいことから言う」という語順のルールによるものなのです。
つまり、この例で一番尋ねたい情報は「思う」「思わない」ではなくて、「どこ?」ということです。
したがって、倒置が起こり、「Where」が文の最初に来るのです。
英語の語順ルール2: 軽い情報が先、重い情報は後
以下の2つの例文を見てください。
- To finish this work in a day is difficult.
- It is difficult to finish this work in a day.
受け手の気持ちになって想像した時に、2の方が受け取りやすいのではないかと思います。
2では「It is difficult」と先に言うことで、受け手は「何かが難しいんだな」と話し手が伝えたいことの大枠を捉えることができます。
一方で、1は所謂「頭でっかちな文」になっており、受け手は何が伝えたいことなのかを注意深く聞く必要があり、あまり好まれません。
英語では、まず単純で大まかな内容を伝えた後で、詳しい追加の内容を伝えるのがルールであるということを覚えておきましょう。
動詞の「気持ち = 力の方向」を考える
みなさんは、「動詞の気持ち」を考えたことがありますか?
動詞の気持ちとは「力の方向」のことで、自動詞と他動詞においてその方向に違いがあります。
この違い、すなわち動詞を「力の方向」として捉えることで、英文が示す意味の解釈がスムーズになります。
動作動詞と状態動詞と知覚動詞の違い
余談ですが、自動詞・他動詞以外にも動詞にはいくつかのグループ分けがあります。
その代表的なものが「動作動詞」「状態動詞」「知覚動詞」です。
例えば、「知覚動詞は現在進行形にできない」などの違いがあるのですが、これら3つの動詞の性質を意識することで、文法的な理解が容易になると思います。
ぜひ覚えておきましょう。
5文型にも「気持ち」がある
動詞と同様に、5文型にもそれぞれの気持ちがあり、文型自体が「1つの意味を表すかたまり」であると言えます。
文型という大きな塊で意味を捉えることができると、単語や熟語レベルで考えるよりもずっと速く意味を捉えることができるようになります。
時制は時間ではなく場所
英語学習者がつまづく主なポイントの一つが「時制」ではないでしょうか?
私自身も例外ではないのですが、時制は「場所」として捉えることによって、驚くほど理解が明確になります。
例えば、「過去を振り返るな。未来を見つめてまっすぐ進め。」という表現が示すように、人は「時間」を「場所」として理解しているからです。
現在形 = 「いつもそうだよ」形
「現在」というのは単純に自分がいる現実の世界、つまり「繰り返される日常」の世界です。
ここからがポイントなのですが、現在形は今この瞬間という意味では「現在」を表しません。
例えば、「I usually get up at seven.」という文を考えると、「普段7時に起きる」という意味が表すのは今日だけではなく、昨日も一昨日も、明日も明後日も7時に起きるということなので、現在形は過去も現在も未来も表せているということになるのです。
では、現在形が表すのは何なのか?
それは「いつもそうだよ」ということ、すなわち「習慣」なのです。
ここに、多くの英語学習者が現在形に苦手意識を持つ理由があります。
現在形は「いつもそうだよ」形であると覚えておきましょう。
過去形 = 「今は違うんだよ」形
「過去」というのは「以前は現実だったけど、今はもう現実ではない」という世界、つまり「現在」から距離が離れた場所として考えられます。
欧陽菲菲の名曲と言えば「Love is over」ですが、「愛は終わったはずなのに、なぜwasではなくてisを使うのか」と思いませんか?
「is」が使われるのは、今の現実世界に「愛が終わっている状態」が存在しているからなのです。
「was」にすると、「あの時、愛は終わっていて、でも今の自分にはそのことは関係ない話だよ」という意味合いになります。
したがって、「それは終わった話で、今は違うんだよ」という気持ちなら「過去形」を使いましょう。
なぜ「Would you ~ ?」や「Could you ~ ?」が丁寧なのか?
少し話は逸れますが、「Will you ~ ?」や「Can you ~ ?」でお願いするより、「Would you ~ ?」や「Could you ~ ?」でお願いする方が丁寧だと言われるのは、ここに理由があります。
つまり、「Would you ~ ?」や「Could you ~ ?」が表すのは「距離を取ることで表す敬意」なのです。
また、「雨が降るかもしれない」という意味で「It might rain.」という表現が使われますが、mayの過去形であるmightは過去を表していません。
この場合のmightは、「雨が降る可能性」が低いことを表しており、「過去=現実から離れている」ことが「実現の可能性の低さ」という意味で転用されているのです。
このように、英語の過去形には「昔」という意味以外の使われ方が存在します。
可算名詞と不可算名詞
突然ですが、「パン」と言う時に「a bread」とするのと「bread」とするのどちらが正しいでしょうか。
正解は「bread」です。なぜなら、breadは不可算名詞だからです。
このように、可算名詞と不可算名詞はどう区別すれば良いのか、迷ってしまうことがありますよね。
その違いについて、以下でご説明します。
基本的に、人間はモノを「形」と「性質・材質」という2つの側面で認識していることが分かっており、前者の場合は可算名詞になり、後者の場合は不可算名詞になります。
つまり、英語の世界での「数えられる1個」というのは、それ以上崩してしまったらそれとは呼べなくなってしまう「形」のことなのです。
例えば、氷(不可算名詞)はいくら砕いても氷として認識できますが、スマホ(可算名詞)は砕いてしまったらもはやスマホとは呼べないですよね。
ちなみに、「fish」のように可算名詞にも不可算名詞にもなり得る単語があります。
可算名詞として「a fish」と呼ぶ場合は、「頭から尻尾まで丸ごとそろった1匹の魚全体」を意味し、「fish」と呼ぶ場合は「魚の切り身」、すなわち、「魚という性質」だけを持った肉片を意味するのです。
このように、冠詞の「a」を付けないということは、「形ではなく、材質や性質でそれを見ている」という宣言であるとも言えるので、この違いをしっかり理解しておきましょう。
冠詞「a」のもう一つの役割
実は、「a」にはもう一つ重要な役割があります。
それは、抽選箱からランダムに1つ取り出すようなイメージで、「何もなかったところに、何かを1つ、取り出して存在させてやる」という「存在」の意味です。
所謂「初出のa」と呼ばれるものですが、「Once upon a time, there was a boy in a village. The boy was…」のように、物語で初めて登場した人物(ここでは少年)に「a」を付けて、2回目からは「the」を付けるというものです。
このように、「a」には「形で認識している名詞を、その形丸ごと、たくさん同じ種類が入っている抽選箱からランダムに1つ取り出して、存在させてやる」というイメージがあります。
動詞の目的語としての「to 不定詞」と「動名詞」
学生時代に「MEGAFEPS(メガフェプス)」という言葉を暗記した思い出はありませんか?
これはmindやenjoyなどの「目的語に動名詞をとる動詞」の頭文字をとって並べたものですが、動詞の目的語として「to 不定詞」と「動名詞」のどちらを置くかについては、迷ってしまうことがありますよね。
この使い分けについても明確なルールがあるので、丸暗記するのではなく直感的にこのルールを使いこなしましょう。
上記のように、wantやexpectやneedなど「今は思っているだけで実現するのはこれから先」と言う特徴を持っている動詞は、「これからすることに向かう」ことを意味する不定詞のtoがうまくマッチするのです。
一方で、「He managed to finish the beer.(彼はなんとかビールを飲み干した)」や「She learned to drive a car during the summer.(彼女は夏の間に車を運転できるようになった)」など、「到達」のイメージのtoが使われる場合もあります。
こういったケースは少数派なので、覚えてしまった方が良いでしょう。
日本人が苦手な英文法の「違い」と「使い分け」
最後に、英文法を勉強する中で、日本人が苦手としがちな部分について、いくつか解説したいと思います。
toとforの「違い」と「使い分け」
みなさんは、「この場合はtoとforどちらを使えばいいんだっけ?」と迷ってしまうことはありませんか?
「代理・交換」の時はforを使う
例えば、第4文型の文である「I bought her some food.」を第3文型の文に書き換えるには、「I bought some food to her.」と「I bought some food for her.」ではどちらが正しいでしょうか?
答えは後者のforです。
前置きが長くなりましたが、toではなくforを使うのは、以下の2つの条件に当てはまる時です。
先ほどの例文で考えると、「買う」には「自分が手にいれる」イメージはあっても「誰かに渡す」イメージはありませんので、1つ目の条件を満たしています。
さらに、彼女の食べ物なのに、私が彼女に代わってお金を払った、つまり「代わりにやってあげている」イメージが出ているので、2つ目の条件を満たしていることが分かります。
つまり、「代理・交換」という意味合いがある動詞の場合はforを使うのです。
逆に、giveやshowなどの「渡すイメージ」がある動詞の場合はtoを使ってください。
目標・目的のfor
目標や行き先を示す時にも、toとforを混同してしまうことがよくあるのではないでしょうか?
ポイントは「toはたどり着いている」「forはたどり着いていない」という違いです。
例えば、「渋谷行き」の電車は「to Shibuya」ではなく「for Shibuya」と言いますよね。
電車はまだ渋谷にたどり着いていないので「for」が使われるのです。
逆に、「私は明日渋谷に行くつもりだ」という文は「渋谷にたどり着く、ということを明日行うつもりだ」という意味合いで、「I’ll go to Shibuya tomorrow.」となります。
このように、「to + 場所」は場所に到達することを表すのだと覚えておきましょう。
willとbe going toの「違い」と「使い分け」
一般的な日本の中学英語では、「will」も「be going to」も「~しようと思う(意志)」「~だろうと思う(予想)」という意味だと教わります。
しかし、これらには明確な違いがあります。
お分かりの通り、「will」を使うとやや「軽い」感じになりますが、それが悪いということではなく、状況によって使い分けることが重要ですので、この違いを覚えておきましょう。
some, others, another, the otherの「違い」と「使い分け」
ここでは、英語学習者が混乱しがちな「some」「others」「another」「the other(s)」のイメージの違いと使い分け方法について解説します。
特に、「others」「another」「the other(s)」の3つは、文脈によってはどれも「他の」「別の」と訳せてしまうので、使い分けを苦手としている方が多いのではないでしょうか。
ちなみに、「some」は「aの複数形」とも言うことができます。
「a」は「形で認識する数えられるものを1個、抽選箱からランダムに取り出す」イメージでしたが、「some」は柄杓で取り出すイメージなので、水のように数えられないものもすくって取り出せる、すなわち可算名詞と不可算名詞どちらにも使えます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
英語と日本語の根本的な違いや、動詞や文型の「気持ち」を意識することで、英文法の理解度が高まったのではないでしょうか?
著者の時吉さんは、「英語を使って人を説得できるようになる」ことを英語学習のゴールに設定すべきだと述べています。
そのためには、「言いたいことが伝わる」ことを最優先に、ユニクロの服のような「カジュアルだけど、いろんな場面で使える表現」をマスターした方が効率が良いのは明らかです。
小難しい表現は必ずしも必要ではなく、中学英語で教わる英文法で十分なのです。
ぜひ、本書を手に取っていただき、真の意味で中学英語をマスターしましょう。
「英語を使って人を説得できるようになる」ことができれば、あなたのキャリアや人生の可能性は限りなく広がるはずです。
ではまた!