どうも、TJです!(自己紹介はこちら)
今回ご紹介するのは、ちきりんさんが書かれた「マーケット感覚を身につけよう―「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法」です。
不確実性が高まるこれからの社会を生き抜くうえで必要な「マーケット感覚」について書かれた本書は、たいへん大きな話題となりました。
今回は、本書で解説されているマーケット感覚の要点や、マーケティングとの違いなど、重要なポイントに絞ってご紹介していきたいと思います。
それではさっそく見ていきましょう!
マーケット感覚とは?
マーケット感覚とは、「社会の動きがこれからどうなるのか」「今ヒットするのはどんなものか」などがわかるアンテナやセンサーのようなものです。
マーケット感覚は「論理思考」と対になる力で、不確実性が高まっていくこれからの社会を生き抜く上で核となる能力です。
その本質は、市場で取引されている「価値」を正確に見極める力にあります。
「ジャパネットたかた」が本当に売っているもの
突然ですが、ジャパネットたかたが売っているものはなんでしょうか?
家電、家具、健康器具、宝飾品など、様々なものが頭に浮かんでくると思いますが、これらは彼らが提供する価値を消費者に届けるための手段にすぎません。
ジャパネットたかたが本当に売っているもの、それは「孫のアドバイスという価値」です。
商品の品揃えという観点でいえば家電量販店等には遠く及びませんが、ジャパネットたかたは、ターゲット顧客のニーズや懐具合を把握したうえで、そのニーズにぴったりの商品をセレクトして紹介しています。
その上で、なぜその商品が良いのか、どこが買い手に合っているのかを分かりやすく説明してくれます。
これはまさに、商品知識がないおじいさんとおばあさんが孫と一緒に家電量販店に行って、自分たちの好みや上限金額を伝えつつ、おすすめの商品を選んでもらう体験そのものなのです。
このように、表面的な価値だけではなく、その商品やサービスが顧客に対して提供している「潜在的な価値」を見極める力が重要です。
ちなみに、西口一希さんの「顧客起点マーケティング」の中では、価値を「独自性」と「便益」の2軸で表現しているので、ぜひこちらも併せてご覧ください。
また、楠木健さんが書かれた「ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件」では、提供する価値を一言で表したものを「コンセプト」として解説していますので、こちらも必読です。
マーケティングとの違いは?
マーケット感覚がどんなものかはなんとなくお分かりいただけたかと思いますが、これが所謂「マーケティング」とどう違うのか、疑問に思われる方もいるでしょう。
それらの違いを簡単に説明すると、以下のようになります。
つまり、マーケティングを行う上で、本質的に必要になる力が「マーケット感覚」であるという関係性です。
マーケット感覚を鍛える5つの方法
では、マーケット感覚を鍛えるためには、具体的にどうすればよいのでしょうか。
そのために、本書で解説されている5つの方法についてご紹介します。
その1 プライシング能力を身につける
まずは、潜在的な価値に気づくための、自分独自の「価値基準」を手に入れましょう。
そのために一番良い方法は、すでに値札がついているものについて、自分の基準に基づいてプライシング(値付け)をしてみることです。
プライシングの具体的な流れは以下の通りです。
ここで大事なことが、コスト積み上げ発想で考えないということです。
その商品を作るためにどのぐらいのコストがかかるか、という思考でプライシングをしてしまうと、独自の価値基準は養えません。(おそらく誰がやっても似たような値付けになります)
あくまで、「どのぐらいの値段であれば、その商品やサービスが市場に受け入れらるか」という発想でプライシングを行いましょう。
その2 インセンティブシステムを理解する
インセンティブシステムとは、動機から言動に至る仕組みのことです。
例えば、「ニンジンをぶら下げれば、馬は走り始める」などです。
人間のインセンティブシステムはそれほど単純ではありません。
しかし、その複雑な仕組みを理解することで、「市場における需要者や供給者が何に基づき、次にどんな行動をとるのか」を予測する力につながります。
お金のためならなんでもやる?
たまに、芸能人のスキャンダルが報じられたりすると、「金のためにやったんだろう」と言う人がいますが、これは短絡的な考えです。
こういう時に、自分なら本当に「金のために」そんなことをするだろうか、お金以外に動機があるとすればどんなものがあり得るか、よく考えてみてください。
そうやって「人間が動く理由や仕組み」について、日々深く考える癖をつけることが重要です。
自分の欲望に素直になる
インセンティブシステムを理解する上でもう一つ重要なのが、自分の欲望と素直に向き合うことです。
日頃から「あれがしたい、でも、どうせできない」と考えていると、自分の欲しているものが分からなくなってしまいます。
これは、期待通りに行かないことで自分が傷つかないように守るため防御システムで、「どうせできない」という気持ちを、「そんなにしたくない」に変えてしまうのです。
このように自分の欲望が分からなくなってしまうと、他の人が欲しいものを理解することも難しくなってしまいます。
日本では「我慢すること」が美徳とされますが、我慢するよりも「自分は何が欲しいのか→自分が求めているのはどのような状態か→自分が欲しいものは何か」と考える方がよっぽど建設的です。
その3 市場に評価される方法を学ぶ
これまで、重要な意思決定は国や企業や学校などの「組織」の中で行われていましたが、最近は多くの重要な判断が「市場」のダイナミズムの中で行われるようになってきています。
ふるさと納税の本質
分かりやすい例として「ふるさと納税」が挙げられますが、その本質は「税金徴収制度の市場化」であると言えます。
つまり、日本中の地方自治体が、日本中の納税者の払う税金を獲得しようと競争しているのです。
ふるさと納税をしたことがある方はご存じだと思いますが、どの自治体もあの手この手で税金を獲得しようと工夫しています。
まさに意思決定のプロセスが「市場」に移り、その中で評価される方法を各自治体の担当者が学んでいるのです。
このように、「組織」と「市場」の意思決定スタイルの違いを理解し、「市場」に評価される方法を学ぶことが重要です。
「組織」と「市場」の意思決定スタイル
組織が「決めてから、やる」のに対して、市場では「やってみてから、決める」という点で、それぞれの意思決定スタイルには違いがあります。
したがって、市場においては「とりあえずやってみる」ことが大事です。
今まさに私が更新しているこのブログも、「とりあえずやってみよう」と始めてから、1年が過ぎました。
とりあえずやってみることで、アクセス数や検索流入数などのデータであったり、読者からのコメントであったり、市場からのフィードバックを得ることができます。
それらを基に、「どうやったらもっと読んでもらえるか」「どうやったらgoogleに評価してもらえるか」について、学ぶことができるのです。
その4 失敗と成功の関係を理解する
シリコンバレーでは、「失敗経験のない人は、まったく評価されない」そうです。
なぜなら、失敗経験がないということは、「それまでの人生においてチャレンジをしてきていない」と見なされるからです。
日本では、「失敗は悪いことだ」という意識が未だ根深いように思います。
何かにチャレンジしたときに、その結果が成功と失敗に分かれるイメージを持っている人が多いと思いますが、これは大きな誤解です。
「失敗とはスタート地点から成功までの途上に存在する学びの機会である」というのが、成功と失敗の正しい関係です。
前述の「市場から学ぶ」という話にもつながっていきますが、成功のためには失敗が不可欠です。
スタート地点であれこれ考えているより、どんどん市場で失敗を重ね、得られたフィードバックを基に学んでいきましょう。
その5 市場性の高い環境に身を置く
市場性の高い環境とは、「需要者と供給者が価値を交換する現場、人間のインセンティブシステムが直接的に働く場所、市場的な意思決定方法が採用されている環境」のことです。
SNSを例にとると、ブログとtwitterは市場性が高く、facebookやLINEは市場性が低いと言えます。
ブログやtwitterでは、無名の人が有名になったり、フォロワーが数名しかいない人の発言でも、バズったら何万人にも読まれたりします。
一方、facebookでは発言のおもしろさではなく知り合いの数によって評価が規定されるので、もともとリアルな社会で成功している人しか影響力を持てません。
したがって、マーケット感覚を鍛えるには、ブログやtwitterのような市場性の高いSNSで発信する方が役に立ちます。
まとめ
ここまでで、マーケット感覚とは何か、どうすればマーケット感覚を鍛えられるかについてお話してきました。
マーケット感覚を身につけることの最大の利点は、それさえ身につければ、変化が恐くなくなるということです。
「終 変わらなければ替えられる」より引用
(中略)
いち早く変化の兆しに気づき、新しい世界で価値を提供する方法を、市場から(失敗しながら)学ぶことができるかどうかです。
それさえできれば、変化は恐れるものではなく、心から楽しめるモノになります。
人生100年時代、変化を恐れず楽しめるように、マーケット感覚を身につけていきましょう。
ちきりんさんが最近出版された、「自分の意見で生きていこう―「正解のない問題」に答えを出せる4つのステップ」も気になってるので、ぜひ読んでみたいと思います。
ではまた!
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