どうも、TJです!(自己紹介はこちら)
今回ご紹介するのは、ビジネスコンサルタントの細谷功さんが書かれた「地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」」です。
2007年に発売された本書をきっかけに、「地頭力」という言葉が世間に広まりました。
今回は、「地頭力ってそもそも何?」「地頭良くなりたい!」という方のために、特に重要な部分に絞って、分かりやすくお伝えしていきたいと思います。
それではさっそく見ていきましょう!
地頭力とは何か
本書における地頭力の定義は「考えるために基本となる力」です。
決して「生まれつきの頭の良さ」という意味ではないので、鍛えることができます。
地頭力の本質は、「結論から考える」仮説思考力、「全体から考える」フレームワーク思考力、「単純に考える」抽象化思考力の3つです。
「結論から考える」仮説思考力
仮説思考とは、「いまある情報だけで最も可能性の高い結論(仮説)を想定し、常にそれを最終目的地として強く意識して、情報の精度を上げながら検証を繰り返して仮説を修正しつつ最終結論に至る思考パターン」のことです。
仮説思考力は、以下の3つの要素に分解できます。
リクルートでは「旗を立てられる人」が優秀とされるそうですが、限られた情報の中でも、とにかくゴールを定め、そこをめがけて試行錯誤を繰り返していくことが大切です。
「全体から考える」フレームワーク思考力
その名の通り、「フレームワークを活用してものごとを考える」ことをフレームワーク思考と呼びます。
フレームワーク思考力は、「全体俯瞰力」と「分解力」に分けることができ、その概念を表したものが以下の図です。
フレームワーク思考のプロセスは大きく5つで、①全体→部分への視点移動、②切断の「切り口」の選択、③分類(足し算の分解)、④因数分解(掛け算の分解)⑤ボトルネック思考です。
「単純に考える」抽象化思考力
抽象化思考力とは、①対象の最大の特徴を抽出して「単純化」「モデル化」した後に、②抽象レベルで一般解を導き出して、③それを再び具体化して個別解を導くという3ステップによる思考パターンのことです。
以下の図は、抽象化思考のプロセスを可視化したものです。
抽象化思考力を高める上でキーワードになるのは、「モデル化」「枝葉の切り捨て」「アナロジー」の3つです。
つまり、複雑な事象を単純なモデルに落とし込み、本質的ではない情報をそぎ落としたうえで、同じ特徴を有する既存の知識やロジックを活用する、ということが大切です。
※「アナロジー」というのは類推のことで、ある事象を類似のものから説明することを指します。
地頭力を鍛えるメリット
「地頭力」を鍛える最大のメリットは、「圧倒的に」生産性が上がることです。
具体的には、前述の3つの思考力を習得することで、以下のようなメリットがあります。
フェルミ推定で地頭力を鍛える
地頭力を鍛える強力なツールとなるのが「フェルミ推定」です。
一度は耳にしたことがある方も多いと思いますが、「シカゴにピアノ調律師は何人いるか?」といった荒唐無稽とも思える問いへの解答を導き出す「考え方のプロセス」を問うのがフェルミ推定です。
その名前は、「原子力の父」として知られ、ノーベル物理学賞受賞者でもある、エンリコ・フェルミ(1901~1954)に由来します。
フェルミ推定の解答プロセスは問題解決のプロセスそのものであり、その中で前述の3つの思考力を駆使する必要があります。
決して、「結果の精緻性」が重要なのではなく、「解答に至るまでのプロセス」が重要なのです。
フェルミ推定の解き方
「日本全国に電柱は何本あるか?」という例題をもとに、フェルミ推定の解答プロセスを解説します。
基本となるプロセスは以下の通りです。
前述した3つの思考能力が、このプロセスの中でどう必要とされ、フェルミ推定によってどう鍛えられるかをまとめたのが以下の図です。
地頭力を上げるためにいちばん大切なこと
筆者は、地頭力の基礎になるのは「好奇心」であると述べています。
フェルミ推定に一番求められるのは問題解決に対しての好奇心かもしれない。
フェルミ推定の問いかけに対しての解答者の反応は大きく二とおりに分けられる。
「目を輝かせて」乗ってくるタイプと何やら難しそうだと当惑して眉をひそめてしまう、あるいははじめからわかるわけないとあきらめてしまうタイプである。「第3章 フェルミ推定でどうやって地頭力を鍛えるか」より引用
筆者の経験上、実際にやってみると、この解答者の「目の輝き」と地頭力はほぼ比例する傾向があるのは興味深い。
あなたは、フェルミ推定の問題を見た瞬間に「面白そうだからやってみよう」と思えるでしょうか?
まずは、そこから確認してみてください。
コンサルの面接でフェルミ推定が出題される3つの理由
余談ですが、「フェルミ推定といえばコンサル」とイメージされる方も多いのではないでしょうか?
実際、コンサルの面接試験ではフェルミ推定が用いられることが多いらしいのですが、その理由は3つあります。
第一に、質問の内容が明快かつ身近なものであるということ。
第二に、正解がないことで、純粋に「考えるプロセス」を問うことができるということ。
最後に、簡潔でありながら問題解決の縮図であるということ。
つまり、地頭力を構成するすべての要素について、候補者の力量を漏れなく見極められるということから、フェルミ推定がコンサル面接の定番になっているのですね。
ちなみに、コンサル業界に興味がある方は、ビジネスコンサルタントの大石哲之さんが書かれた「コンサル一年目が学ぶこと」もぜひ併せてご覧ください。
まとめ
いかがだったでしょうか?
ここまでの解説で、「地頭力とは何か」、「どうすれば地頭力を鍛えることができるのか」が、なんとなくお分かりいただけたのではないかと思います。
筆者は、これからは「地頭型多能人(バーサタイリスト)の時代」だと言います。
つまり、特定の知識に依存することなく膨大なインターネットの情報を最適に活用して「自分の頭で考え抜いて」新しい知識を生み出せる人こそ、激動の時代を生き抜いていけるのです。
バーサタイリストへの一歩目として、まずは一問、フェルミ推定の問題を解いてみましょう。
また、偏差値35から東大合格を果たした現役東大生の西岡壱誠さんが書かれた「『考える技術』と『地頭力』がいっきに身につく東大思考」もおすすめですので、ぜひ併せてご覧ください。
ではまた!