どうも、TJです!(自己紹介はこちら)
今回ご紹介するのは、ロンドンビジネススクール教授のリンダ・グラットンさんとアンドリュー・スコットさんが書かれた「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」です。
本書では、これから到来する「人生100年時代」を生き抜く上で大事なポイントや、人生をどう組み立てていくかのヒントとなる考え方が紹介されています。
「これからの将来が不安でしょうがない」「人生100年時代で何が変わるの?」と感じている方は必見の内容となっております。
それではさっそく見ていきましょう!
人生100年時代の到来
まず最初に、以下の図をご覧ください。
これは、アメリカやドイツの人口学者たちが、いまの子供たちの平均寿命を推計した結果です。
驚くべきことに、2007年に生まれた子どもの50%は100歳まで生きるということを示しています。
医療やテクノロジーの進化など、平均寿命が伸び続けている要因は枚挙にいとまがありませんが、人生100年時代がすぐそこに迫っているのは事実なのです。
私たちは何歳まで働き続けるのか
私自身もそうですが、これからの人生をイメージした時に、真っ先に頭に思い浮かぶのは「お金の問題」です。
仮に100歳まで生きるとして、勤労時代に所得の10%を貯蓄し、引退後は最終所得の50%で暮らしたいとしたら何歳まで働く必要があると思いますか?
答えは80代です。
既に日本でも、定年後の再雇用などが一般的になりつつありますが、これからの時代、70代80代で働くことは当たり前になっていくのです。
これからは年金に頼れない
さらに、平均寿命の上昇に伴って、今後は公的年金が持続困難になっていくと考えられます。
出生率が下がり続けている日本では、勤労人口の増加ペースが引退人口の増加ペースを下回っているので、税収・保険料収入が減る一方で年金給付の支出が膨らみ、財政が立ち行かなくなりつつあるのです。
選択肢をもっておくことの価値が増す
このように、経済的な観点でも様々なリスクが考えられる状況においては、選択肢を持っておくことの価値が増します。
人生が長くなれば、変化を経験する機会が増えるので、その時々でより多くの選択肢があることでリスクを軽減することができるのです。
ライフシフト 3ステージからマルチステージへ
では、より多くの選択肢を持つために、これからはどんな生き方をしていけばよいのでしょうか。
結論としては、「マルチステージ」の人生を歩んでいくことです。
これまでは、20歳前後まで「教育」を受け、定年になる65歳まで同じ会社で「仕事」を続け、その後は「引退」して余暇を楽しむ、という「3ステージ」でした。
しかし、会社も政府の年金もあてにならないこれからの時代、従来のような3ステージの人生を送ることは困難になっていくでしょう。
会社の存続に関して、エール大学のリチャード・フォスターが、興味深いデータを示しています。
1920年代、アメリカの代表的な株価指数であるS&P500を構成する企業の会社存続年数は、平均67年だった。
「第3章 雇用の未来」より引用
2013年、この年数は15年に短縮している。
S&Pを構成するような有望な企業でさえこの状況ですから、会社の倒産や合併などによって転職を余儀なくされるケースは必然的に増えていくと言えます。
マルチステージとは
そこで、3ステージの人生に代わって登場するのが、「マルチステージ」の人生です。
「マルチステージ」とは、ひとことで言うと多様な人生です。
2つ3つのキャリアを持ち、生涯を通して再創造を繰り返すことで人生の選択肢を広げて生き抜くことです。
仕事・学び・遊びのバランスをとりつつ、柔軟に人生を組み立てていくのです。
著者は、新しいステージとして「エクスプローラー」「インディペンデント・プロデューサー」「ポートフォリオ・ワーカー」の3つを紹介しています。
人生100年時代に特徴的なのは、これらのステージと年齢が一致しなくなることです。
70歳のエクスプローラーがいたり、どのステージもあらゆる世代の人が実践できるようになるのです。
エクスプローラー
エクスプローラーは、人生の旅をして自分と世界を再発見します。
日常生活から離れて旅をしたり、新しい人と出会ったりして、既存の価値観から抜け出し、自分についての理解を深めていきます。
インディペンデント・プロデューサー
インディペンデント・プロデューサーは、組織に雇われずに自分で仕事を生み出す人のことです。
「起業」に近いイメージですが、必ずしもお金を稼ぐことが目的ではなく、やりがいや人とのつながりを重視しながら、試行錯誤をスピーディに繰り返して学びをどんどん深めていきます。
ポートフォリオ・ワーカー
ポートフォリオワーカーは、異なる種類の活動を同時に行う人です。
中途半端になりそうな気もしますが、経験や知識を活かしていろんな自分を楽しむことで、多様な活動が自分らしさに繋がっていきます。
新しい人との出会いも増え、それが人生に刺激と選択肢をもたらしてくれるのです。
マルチステージを生き抜くための3つの「無形資産」
マルチステージを生きるために重視すべきなのが「無形資産」です。
無形資産には、「生産性資産」「活力資産」「変身資産」の3つがあります。
無形資産は、良い人生を送るうえで価値があるだけではなく、お金や不動産のような有形資産の形成を後押しするという意味でも、重要な資産なのです。
ちなみに、北野唯我さんが書かれた「転職の思考法」に出てくる「技術資産」「人的資産」は本書の「生産性資産」「活力資産」と重なるところがありますので、気になった方はこちらの記事も併せてご覧ください。
所得を得るための「生産性資産」
生産性資産は、稼ぐためのスキルや知識、仕事の仲間や評判のことです。
スキルや知識は蓄えているだけでは不十分で、テクノロジーの進化が速い現代では、環境に合わせて常に更新していないといけません。
仲間やネットワークも大切で、相互補完できる人たちや信頼できる人たちと協力関係を築くことこそが重要です。
「本人の実力さえ良ければやっていける」というのは、転職した後に成績を落とす人の考え方です。
なぜなら、その会社で成果を上げていたのは、そこの資源や組織文化などが関係していることが多いからです。
したがって、会社を移ったことで、自分の力を最大限に発揮できず苦しむのです。
心身の健康を維持する「活力資産」
活力資産は、バランスの取れた生活や家族との良好な関係、肉体的・精神的な健康と幸福のことです。
平均寿命が延びたとはいえ、誰もが健康に長生きできるわけではないので、健康の価値はどんどん高まっています。
健康を維持するためには仕事によるストレスなどを適度に発散することで、そのために大切になるのが家族や友人との関係です。
家族との関係が良好であれば仕事にも好影響が出ますが、悪ければストレスはさらに溜まってしまいます。
また、他人との結びつきが強い人に対して、孤立している人は活力も劣り、前向きでない傾向があるので、友人との関係も長く生きるほど価値は大きくなるのです。
変化に柔軟に向き合う「変身資産」
変身資産は、マルチステージを生き抜くため社会の変化に柔軟に対応し、人生の途中で何度でも新しいステージへの移行を成功させる意志と能力のことです。
変化への対応能力を高めるためには、3つのポイントがあります。
1つ目は、自分についてよく理解し、自分の将来の可能性を知ること。
2つ目は、幅広いネットワーク。これを築けている人ほど円滑な移行を遂げやすい。
3つ目は、積極的に新しい経験をしていくこと。
つまり、結局は自分自身を変えたいという気持ち次第なのです。
人生100年時代、何かを始めるのに遅いなどということはなく、何度自分を変えても良いのです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
やや耳の痛い話もあったと思いますが、健康な期間が延びるということは、すなわち人生における思春期が長くなるということでもあります。
この「時間」という贈りものを活かすかどうかは、あなた次第なのです。
100歳になった自分がいまの自分をどう見るかを考えてほしい。
「序章 100年ライフ」より引用
いまあなたがくだそうとしている決断は、未来の自分の厳しい評価に耐えられるだろうか?
この問いこそ、長寿化という現象の核心を突くものです。
つまり、「あなた自身が、自分の人生をどのようにしたいか」というのが、人生100年時代の最大のテーマだと言えるでしょう。
自分はどう生きるか、真摯に向き合う時が来たのです。
もし、まだ「やりたいこと」が見つかっていないのであれば、八木仁平さんの書かれた「世界一やさしい『やりたいこと』の見つけ方」を読んでみてください。
残りの人生であなたが「本当にやりたいこと」が見つかるはずです。
ではまた!