【要約】5分で読める『いまさら聞けないもしドラ』まとめ 高校野球でドラッカーのマネジメント実践

【要約】5分で読める『いまさら聞けないもしドラ』まとめ 高校野球でドラッカーのマネジメント実践 マネジメント

どうも、TJです!(自己紹介はこちら

今回ご紹介するのは、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」です。

2009年に岩崎夏海さんが書かれた本で、企業経営の世界的名著であるピーター・F・ドラッカーの「マネジメント」を頼りに、高校野球の女子マネージャー川島みなみがチームを甲子園に導くという斬新さが話題になり、映画化までされるほどの大ベストセラーになりました。

「まだ読んだことないけど、どんな内容かざっくり知りたい」という方のために、要点を絞ってご紹介したいと思います。

それではさっそく見ていきましょう!


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マネージャーに必要なのは「真摯さ」である

マネージャーの仕事について知るために書店で「マネジメント」を購入したみなみは、その本を読み進める中で「マネージャーの資質」について書かれた次の一説に目を留めます。

マネジャーにできなければならないことは、そのほとんどが教わらなくても学ぶことができる。
しかし、学ぶことのできない資質、後天的に獲得することのできない資質、始めから身につけていなければならない資質が、一つだけある。
才能ではない。真摯さである。

「第一章 みなみは『マネジメント』と出会った」より引用

最近は「人づきあいの良さ」や「愛想よくすること」がマネージャーの資質として重視されているが、それだけでは不十分で、「真摯さ」が何より大事だとドラッカーは言います。

「真摯さ」とは何なのでしょうか。

ひとことで言うならば「組織に成果をあげさせることに、誰よりも執着する姿勢」なのではないかと思います。

物語の後半に、それを象徴する場面があります。

いよいよ最後の夏の大会を迎える前に、別の女子マネージャーがこう言います。

もし仮に野球部が夏の大会で負けて、たとえ甲子園に行くことができなくても、私、それはそれでいいと思ってるんだ。
(中略)
甲子園に行くために、野球部のみんなが一丸となって取り組んだ、その過程の方がだいじだと思ってるの。

「第七章 みなみは人事の問題に取り組んだ」より引用

それに対して、みなみは次のように言います。

私には、マネジャーとして、野球部に成果をあげさせる責任があるわ。野球部を甲子園に連れていくことが、私の責任なの。
(中略)
その立場の人間が、結果ではなくプロセスを大切にするというのは、やっぱり真摯さに欠けると思うの。

「第七章 みなみは人事の問題に取り組んだ」より引用

一見するとドライな印象を受けるかもしれませんが、努力やプロセスではなく、組織を成果に向けさせることがマネージャーの役割なのです。

最初は「真摯さってなんだろう…」と思い悩んでいたみなみですが、本人も気づかぬうちにその意味に気づいたのですね。

すべての出発点は「顧客」

続いてみなみは、「マネジメント」を読み進める中で「野球部の定義」とは何かを考え始めます。

あらゆる組織において、共通のものの見方、理解、方向づけ、努力を実現するには、「われわれの事業は何か。何であるべきか」を定義することが不可欠である。

「第一章 みなみは『マネジメント』と出会った」より引用

つまり、野球部をマネジメントするには「野球部がどういう組織で、何をするべきか」を決めねばならない、ということです。

野球部の「目的と使命」とも言い換えられますね。

これに対するヒントとして、ドラッカーは次のように言っています。

企業の目的と使命を定義するとき、出発点は一つしかない。顧客である。
(中略)
顧客を満足させることこそ、企業の使命であり目的である。

「第二章 みなみは野球部のマネジメントに取り組んだ」より引用

例えば、ラーメン屋さんであればお金を払ってラーメンを食べに来てくれる人が「顧客」になりますが、営利団体ではない野球部となるとその定義は難しく、みなみも頭を悩ませます。

結果的に、別の部員と議論をする中で、「顧客」とは親、先生、学校、都(自治体)、高野連、全国の高校野球ファン、そして自分たち部員であるという答えにたどり着きます。

それと同時に、「野球部の定義」を「顧客に感動を与えるための組織」と定めることにし、これで野球部の定義と目標(甲子園出場)が決まりました。

ちなみに、ドラッカーの考え方はユニクロやGUでお馴染みのファーストリテイリング社の経営にも影響を与えており、社長を務める柳井正さんの「経営者になるためのノート」でも、使命の重要性について説かれています。

企業の機能は「マーケティング」と「イノベーション」の2つだけ

野球部の定義と目標が決まったところで、みなみは次なるお題に直面します。

企業の目的は、顧客の創造である。
したがって、企業は二つの、そして二つだけの基本的な機能を持つ。
それがマーケティングとイノベーションである。

「第二章 みなみは野球部のマネジメントに取り組んだ」より引用

この一説を読んだみなみは、「自分たちのプレーを見て感動してくれる人(=顧客)を増やす」という野球部の目的を叶えるために、マーケティングとイノベーションに取り組んでいきます。

マーケティング

マーケティングについて、ドラッカーは次のように言っています。

真のマーケティングは顧客からスタートする。
すなわち、現実、欲求、価値からスタートする。

「第二章 みなみは野球部のマネジメントに取り組んだ」より引用

ここでも、一貫して出発点は顧客であり、まずは顧客の現実、欲求、価値を知ることから始めよと唱えます。

つまり、「自分たちが何を売りたいか」ではなく「顧客が何を買いたいか」、「自分たちの製品やサービスにできることはこれである」ではなく「顧客が価値を感じ、必要とし、求めている満足がこれである」という考え方が重要であるということです。

これを読んだみなみは、「自分がすでにマーケティングをしてきた」ことに気づきます。

例えば、別のマネージャーに「どうしてマネージャーになったのか?」と問い、「感動をしたいから」という答えを得たこと、これも立派なマーケティングでした。

つまり、そのマネージャーの「現実、欲求、価値」からスタートしていたのです。

その結果として、「顧客に感動を与えるための組織」という野球部の定義を導き出すことができました。

他にも、夏の合宿で野球部をよく観察したり、部員一人ひとりの考えを聴く面談を実施したり、みなみは精力的にマーケティングに取り組みました。

すなわち、顧客の 「現実、欲求、価値」 を引き出すためには、とにかく顧客を観察し、顧客と対話することが何より重要なのです。

マーケティングの基礎について知りたい方は、こちらの記事を併せてご覧ください。

イノベーション

イノベーションとは何か、本書にはこう書かれています。

イノベーションとは、科学や技術そのものではなく価値である。
組織のなかではなく、組織の外にもたらす変化である。

「第五章 みなみは人の強みを生かそうとした」より引用

マーケティングによって着々と実力をつける野球部でしたが、最後の夏の大会まであと半年と迫った時点で、甲子園出場レベルには届いてないことをみなみは感じていました。

それまでのやり方を変える必要があると思っていた矢先に上記の一節を読み、みなみはイノベーションに取り組むことを決めます。

つまり、古い常識を打ち壊し、新しい野球を創造することによって、高校野球界の常識を変えようと決心したのです。

では、どうやってイノベーションを起こしていくか。

イノベーションの戦略は、既存のものはすべて陳腐化すると仮定する。
(中略)
イノベーションの戦略の一歩は、古いもの、死につつあるもの、陳腐化したものを計画的かつ体系的に捨てることである。

「第五章 みなみは人の強みを生かそうとした」より引用

まずは捨てるものを決める必要があるんですね。(これが意外と難しい)

みなみは「何を捨てるか」について監督である加持にも相談し、「送りバント」と「ボール球を打たせる投球術」を捨てるべきだと結論づけます。

そして、「ノーバント・ノーボール作戦」という戦術を考案し、後の大会で大旋風を巻き起こすのです。

マネジメントの仕事は「働く人に成果をあげさせること」

ここまで、組織のマネジメントを中心に解説してきましたが、みなみは部員やマネージャーなど、野球部のために働く人にいかに成果を出させるかについても奮闘します。

改めてになりますが、ドラッカーは「成果」の重要性について、繰り返し言及しています。

成果こそ、すべての活動の目的である。

「第七章 みなみは人事の問題に取り組んだ」より引用

マネジメントは、生産的な仕事を通じて、働く人たちに成果をあげさせなければならない。

「第三章 みなみはマーケティングに取り組んだ」より引用

成果とは百発百中のことではない。成果とは打率である。

弱みがないことを評価してはならない。
そのようなことでは、意欲を失わせ、士気を損なう。
人は優れているほど多くのまちがいをおかす。優れているほど新しいことを試みる。

「第六章 みなみはイノベーションに取り組んだ」より引用

これらの言葉を胸に、みなみは「働く人に成果をあげさせる」ために大事なことを学んでいきます。

人の強みを発揮させる

「人」をマネジメントするうえで、最も大事なことは何か。

それは以下の一節で述べられています。

人のマネジメントとは、人の強みを発揮させることである。
(中略)
人が雇われるのは、強みのゆえであり能力のゆえである。
組織の目的は、人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを中和することにある。

「第四章 みなみは専門家の通訳になろうとした」より引用

これを読んでからのみなみは、「人を生かす!」を合言葉に、人の強みをどうしたら発揮させられるかについて考え続けます。

例えば、「成績優秀だが変わり者で扱いづらい一年生マネージャー」のことを、当初みなみは負担に感じていました。

しかし、徐々に彼女の良いところを探すようになり、「頭の良さ、向学心、素直さ」という強みに気づきます。

一方で、「東大出身で野球に関する膨大な知識を持っているが伝えることが苦手な監督」についても、みなみは手を焼いていました。

そこでみなみは、一年生マネージャーに「監督の通訳」としての役割を与え、練習メニューの作成というタスクを命じます。

これが功を奏して、監督の知識を一年生マネージャーが面白いように吸収し、効果的な練習メニューを考案することで、野球部の実力アップにつながっていきます。

まさに二人の強みを発揮させ、互いの弱みを中和することに成功したのです。

仕事に責任を持たせる

人の強みを生かすことに加えて、働く人に成果を出させるためには、「働きがい」を与えることも重要だとドラッカーは言います。

そのために必要なことは何か。

働きがいを与えるには、仕事そのものに責任を持たせなければならない。

「第三章 みなみはマーケティングに取り組んだ」より引用

働きがいと責任は表裏一体、これは私自身の経験からもその通りだと感じました。

みなみは早速、日々の練習の中に「責任」を組み込んでいきます。

例えば、「攻撃」「守備」「走塁」それぞれの練習を担当するリーダーを決めて、どうやったら上達することができるか、その成果に責任を持たせました。

そうすることで、リーダーたちは何をすべきかを真剣に考えます。

結果として、「走塁」であればランニング練習をチーム対抗にして、チームごとの合計タイムを競わせる仕組みを導入し、野球部全体の走力向上が実現されました。

ここで大事なのは、その分野において最も得意な人間に責任を持たせることです。

そうすることで、彼らの知識や経験を貴重な資源として生かせる、すなわち「人の強みを発揮させる」ことにもつながるからです。

ちなみに、ややタイプは異なりますが、近年ベストセラーになった「リーダーの仮面」にも、マネジメントに関する興味深い考え方が語られていますので、ぜひ併せてご覧ください。

まとめ

いかがだったでしょうか。

高校野球という身近な例を通して、ドラッカーが提唱する「マネジメント」の要点を掴んでいただけたのではないかと思います。

さらに、物語としてもとても面白く、クライマックスは涙なしには読み進めることができませんでした。笑

物語の結末が気になる方、もっと詳しく「もしドラ」について知りたいという方は、ぜひ本書を手に取っていただければ幸いです。


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