どうも、TJです!(自己紹介はこちら)
今回ご紹介するのは、「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門 (角川書店単行本)」です。
日本を代表するマーケターである森岡毅さんが、CMOを務めたUSJを復活させたストーリーを基に、マーケティングの要点を分かりやすく解説してくれています。
最近、森岡さんが代表を務める株式会社刀が手掛ける「西武園ゆうえんち」がリニューアルオープンしたことも話題になっていますね。
今回は本書の中から、「マーケティングとは何か?」「戦略とは何か?」という本質的な部分に絞ってご紹介していきたいと思います。
それではさっそく見ていきましょう!
※本記事について解説したYoutube動画もありますので、こちらもご覧ください。
「マーケティング」ってなに?
マーケティングとは「売れる仕組みを作ること」だと本書では書かれています。
要するに、放っておいてもお客さんが商品をどんどん買っていく状態を作り上げる、ということです。
「商品を売る」のが営業の仕事であるのに対し、「商品が売れるようにする」のがマーケティングの仕事であると対比的に述べています。
マーケティングで制するべき3つのポイント
売れる仕組みを作るうえで重要になってくるのが、消費者と商品の接点を制する(コントロールする)ことです。
その接点というのは、➀消費者の頭の中 ➁店頭(買う場所) ➂商品の使用体験の3つです。
中でもとりわけ重要なのが「消費者の頭の中」を制することで、商品が消費者から「選ばれる必然」を作ることが重要です。
高級車と言えばベンツ、スニーカーと言えばナイキのように、「○○と言えば」で指名されることであるとも言えます。
専門用語では純粋想起、なんて言ったりします。
この「選ばれる必然」を作るための活動がすなわち「ブランディング」にあたります。
マーケティングとブランディングの関係性については、こちらの記事でもまとめていますので、気になった方は併せてご覧ください。
「戦略」ってなに?
続いて、マーケティングとは切っても切り離せない「戦略」について解説します。
著者の森岡さんも本書の中で次のように言っています。
「マーケターになるために最も大切なスキルは何ですか?」と聞かれれば、私は脊髄反射で「戦略的思考力を身につけること」と答えます。
第4章 「戦略を学ぼう」より引用
(中略)
戦略的に頭を使うことに慣れていくことは、マーケターになるための第一歩なのです。
戦略的思考に似た言葉で、論理的思考という言葉がありますが、これらの関係性を表したのが以下の図です。
つまり、戦略的思考は論理的思考に属し、マーケティング思考は戦略的思考に属すということです。
なので、マーケティングを考えている時は必ず戦略的に考えているのであって、かつ論理的に考えているということになります。
戦略の定義
前置きが長くなりましたが、ここから「戦略」について詳しく解説していきます。
まず、戦略の定義について、本書には以下のように書かれています。
戦略とは、目的を達成するために資源を配分する「選択」のこと。
第4章 「戦略」を学ぼう
どうでしょう、これだけだとよく分かりませんよね。笑
もうちょっと嚙み砕いて言うと、「自分の目的を達成するために、自分の持っている様々な資源を、何に集中させるか選ぶこと」という感じです。
戦略が必要な理由
ここでポイントになるのは「選ぶ」ということです。
「選択と集中」なんて言葉も良く耳にしますよね。
では、なぜ選ばなければならないのか?
それはつまり「なぜ戦略が必要なのか?」という問いと同義ですが、その理由は「資源は常に不足しているから」です。
極端なことを言うと、資源が果てしなく潤沢にあるという状況であれば戦略は必要ありません。
ただ、そんな状況はまずあり得ないので、必然的に戦略が必要になります。
戦略の考え方
では実際に戦略を考える場合、どうすればいいのか?
本書には目的(OBJECTIVE) → 目標(WHO) → 戦略(WHAT) → 戦術(HOW)の順番で考えよ、と書かれています。
マーケティングでは、それぞれ以下のような表現をすることもあるので覚えておきましょう。
まずは「目的」を明確にすることが何より重要です。
なぜなら、戦略は目的達成のために必要なものだからです。
目的が変わればすべての戦略(もちろん戦術も)はやり直しになります。
ここで、よく混同しがちな「目的」と「目標」、「戦略」と「戦術」の違いについて解説しておきたいと思います。
「目的」と「目標」の違い
「目的」とは達成すべき使命のことであり、戦略思考の中では最上位概念にあたります。
「目標」とはその目的を達成するために経営資源を投入する具体的な的のことです。
私自身もそうですが、ビジネスの現場でもこれらはよく混同して使われていることが多いように思います。
この違いを端的に示す例として本書に挙げられているのが、「目的はパリ占領、目標はフランス軍」です。
作戦の最上位概念はパリを占領することで、それを達成するためのターゲットがフランス軍。
つまり、フランス軍を撃破することがパリ占領という目的を達成するためにマストな条件になっている、という関係性です。
「戦略」と「戦術」の違い
「戦略」は前述の通り、目的達成のための資源配分の選択。
「戦術」は戦略を実行するためのより具体的なプランのこと。
例えばダイエットに当てはめてみましょう。
夏までに痩せることを目的とした場合、食事制限で体重を減らそうというのが「戦略」、毎晩の主食を白米ではなく玄米に変えようというのが「戦術」になります。
良い戦略、悪い戦略
ここまでで「戦略」に対する理解はかなり深まってきたと思いますが、良い戦略とはどんなものなのでしょうか?
戦略の良し悪しを測るモノサシとして、本書では4Sチェックが紹介されています。
以上が4つのSですが、必ずしもこれらすべてが満たされていなければならないということではありません。
著者の経験談でも、「3つのSを満たしていて、その中のどれかに突出した強みを持っているものがホームランになることが多かった」と語っています。
あくまで戦略の良し悪しを考える上でのひとつの視点として捉えてください。
また、世界的ベストセラーである「良い戦略、悪い戦略」についてまとめた記事もありますので、こちらも併せてご覧ください。
美しい戦略
最後に、「美しい戦略とは何か?」についてお話ししたいと思います。
美しい戦略というのは、相手と自分の特徴の差を、自身に有利になるように活用できているものです。
第4章 「戦略を学ぼう」より引用
本書では歯ブラシメーカーの「サンスター」が王者である「ライオン」の牙城を崩した話が例として挙げられています。
サンスターは小型ヘッドの歯ブラシを発売して、急速にシェアを奪ったのですが、ライオンはそれに対してすぐに追随することができなかった。
なぜか?
ライオンは歯ブラシだけではなく、歯磨き粉でも王者だったため、ヘッドが小さくなることによる歯磨き粉の消費量減少を恐れ、反撃に転じる決断が遅れたのです。
サンスターが王者のジレンマを見事に衝いた、美しい戦略でした。
(ちなみに狙ってそうしたのかどうかは不明とのこと。笑)
また、ライオンからキャリアをスタートさせた後、日本コカ・コーラ元社長、資生堂CEOと華々しい経歴を持つ生粋のマーケター、魚谷雅彦さんが書かれた「こころを動かすマーケティング―コカ・コーラのブランド価値はこうしてつくられる」もおすすめですので、併せてご覧ください。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回改めて本書を読み返しましたが、これほど分かりやすくマーケティングや戦略について解説されている本はないと思います。
さらに本書には、「具体的なマーケティングフレームワーク」や、「マーケターに向いている人とは?」などの興味深い内容が書かれていますので、ぜひ手に取って読んでいただければと思います。
また、森岡さんが書かれた「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」も「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」おすすめですので、こちらの記事も併せてご覧ください。
ではまた!
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